ぼくたちは大人になれなかった、お話

新宿駅の13番ホームから階段を駆け上がり、 東南口の改札へと向かう。 改札を出る。 どうやら雨が降り始めたようだった。 傘を差すほどでもない雨の中、 にわかに浮き足立ったぼくたちは、 吸いたくもないタバコに火をつける。 雨とタバコの匂い、人々の話し…

ぼくたちは中央線に乗って

久しくおブログを更新していなかったのは、 ぼくが「活字の練習」と銘打つこの行為を 仮にサボっても、世間に有意義たる文章を お披露目できる物書きになったからではなく これはつまり多忙に多忙を極めた悲しき サラリー戦士のドキュメンタリーなのだ。 書…

戸田書店の思い出のお話

帰省に不真面目で、地元愛などという陳腐な感情の対極に存在する僕にとって、お盆や年末年始に群馬に帰ることは、非常に鬱陶しい行事でありながら、大人なんだしこれくらいは…という、すこし複雑なお気持ち。 を6ヶ月経った今投下。

年の瀬にふと考える、お話

帰省という作業がはじめて発生したのは、 僕が大学生になった2009年だった。 そこから更に7年が過ぎ、 今年も僕は埼玉県をぶった切る電車で、 年の瀬の足音を聞きながら、 こうして人生について考えるなどしている。 日々、無意識に生きている訳ではないが、…

"モードの帝王"のお話

続、という伏線をぶった切っておりますが、自分なりに「サンローラン」の感想を忘れないうちに記しておこうという思惑で、本当は下書き機能もあるのですが、これを挟んでP-Nutの話をなかったことにしようという魂胆であります。 ピエール・ニネ主演の「イヴ…

僕はP-Nutになりたかったお話

社会人になって、「昔バンドやってた」大人に数え切れないほど遭遇した。 昔バンドやってた芸人も成り立つほど、自己紹介の常套句として用いられる魔法の言葉だ。 かくいう僕も、もれなく「昔バンドやってた大人」になり腐ったわけだが。 しかし、この言葉は…

こんな夏の日にはナンバーガールを思い出すお話

「今年は空梅雨らしい」と 電車で隣に座ったオバサマ2人組が話していた。 1ヶ月ほど前のことだ。 それなりに雨は降ったし、低気圧の影響で 例に漏れず頭痛薬の消費量が増えたが、 陰鬱な6月は過ぎ去った。 正式には、今年の関東梅雨明けは 7月中旬とのことだ…

今日から三週間目覚めちゃダメなお話

また、異動の季節がやってきた。 現在、勤務している某広告会社には、 昨年の8月に中途社員として入社したため、 また、というのは厳密にはlieになるのだが、 こう見えて僕も社会人歴4年目の大ベテランだ。 匠の技が光る、大ベテランである。 光る、匠の技だ…

センチなお話

髪を切った。 嘘だ。 このところ、外見への配慮が欠落している。 最後に鏡を見たのはいつのことであろうか。 もちろん、社会人として最低限、髭を剃るとか、 シャワーを浴びるとか、歯を磨くとか、 そういったことはできているはずなのだが。 温度と湿度の急…

椎名林檎と私

記念すべき第一回目の投稿にこの題材を選ぶのは些か勇気のいることではあったが、椎名林檎の歌唱力の高さについてはテン年代という大きな括りで見ても頭一つ二つ抜きん出ていることは疑う余地のない真理だ。 そんな彼女について考察することに、少しばかりの…